………


もし

あの時


お前が俺でも

そうしたさ



だからお前は

俺に刃を向けるんだろう


だからお前は

己ではなく
もう一人の己に
刃をつき立てるんだろう


自らを斬るより
よっぽど痛ェ仇を

討とうとしてるんだろ




残念だったな


俺は倒れねェよ

お前が
倒れるまで

お前が
止まるまで

何度でも
立ちあがる



高杉

俺は
お前なんぞを
えらんだ覚えはねェよ


ただ

お前が大切に思うものより

松陽(アイツ)が大切に思うものを

知り過ぎてただけだ






~坂田銀時~


<出典>
第五百二十訓:松下村塾の坂田銀時
第五十八巻:さらばダチ公